大坂城懐古
《金城・錦城》
別称≪石山城≫
築城者・蓮 如 明応五年(1496)
築城者・羽柴秀吉 天正十三年(1585)
築城者・徳川幕府 寛永六年(1629)
所在地 大阪市中央区大坂城1-1
作者=松口月城 (1887〜1981)
福岡県に生る。医師・作詞家。名は栄太。月城はその号
熊本医専(現在の熊本大学医学部)卒。十八歳にして医者となり世人を驚かした秀才。
宮崎来城(繁吉)に漢詩を学び、医師として活躍するかたわら詩作にふけり、多くの詩を作った。
又書画が巧である。
昭和四十九年春、詩作を通じ吟詠の普及振興に尽くした功績により、文部大臣表彰を受けた。
著書に『松口月城詩集』がある。 昭和五十六年七月十六日 九十五歳で没す。
語釈
◎豊公 … 豊臣秀吉(豊太閤)のこと。 ◎名城 … すぐれて立派な城。ここでは大阪城をさす。
◎威風 … おごそかでおかしがたいようす。威容。 ◎万兵 … 多くのつわもの。兵士。
◎巍然 … 壮厳で高大なさま。 ◎倒影 … さかさまに写る影。 ◎濠上 … 城にめぐらした堀の水面。
◎一夢 … ひとときの夢。 ◎登臨 … 高い所に登って下方をながめること。 ◎懷古 … 昔を思う事。
大意
豊臣秀吉の築いたこの大阪城はおごそかな威容をほこっている。この大阪城にはかって多くの
つわものであふれていた。山のように高大な天守閣は、地を抜きんでてそびえている。
雄大な大阪城の影は絵に画いたごとく、めぐらされた堀の水面にあざやかに写っている。
天下に号令した英雄の大事業も亡んでしまうともことにまことにひとときの夢のようである。
復興された天守閣に登ると、昔日の大阪城のことがしみじみと思わずにはいられない。
作成日 平成二十年(2008)六月二十八日
編集日 平成二十一年(2009)〇一月三日
資料提供者・山本義夫様
豊公 築 処 此 名城 威風 曾 滋 万兵屯
巍然 地 抜 天守閣 倒影 絵 如 豪上 明
英雄 事業 真 一夢 登臨 何 禁 懐古 情
ホウコウ キズ く トコロ コ の メイジョウ イフウ カって ココ に バンペイタムロ す
ギゼン チ を ヌ く テンシュカク トウエイ エ の ゴト く ゴウジョウにアキラかなり
エイユウ の ジギョウ シン に イチム トウリン ナン ぞ キンぜん カイコ の ジョウ