◎当サイト内の写真、文章等全ての転載、転用又はご使用される際はご一報下さい。

名古屋城

金隣燦爛高甍に耀く (きんりんさんらんこうぼうにかがやく)   金燐燦爛耀高甍

今日登臨無限の情  (こんにちとうりんむげんのじょう)     今日登臨無限情

秀立雲を抜く天守閣 (しゅうりつくもをぬくてんしゅかく)     秀立抜雲天守閣

金湯不落の此の名城 
(きんとうふらくのこのめいじょう)     金湯不落此名城 
                            
(下平声八庚韻)


《作者》  松口月城
《解説》  金のしゃちほこと天守閣とを誇る名城、名古屋城に登り、その壮麗さをたたえた詩。
       作者が、昭和三十四年、復興なった名古屋城の天守閣に登り、その感激を詠じたものといわれる。

読み方  承句『登臨』は『とうりん』が正しい。

語釈   名古屋城 … 名古屋城は、徳川家康が西南諸大名に命じて慶長十四年(1609)。江戸幕府成立は1603)に着工し同十九年に完成した。
      尾張徳川家の居城で、天守閣は加藤清正が造営したもの。閣上には金の鯱を飾ってある。第二次大戦中、昭和二十年戦火に見まわれ
      本丸御殿の隙壁画などを除き、建物の大半を焼失したが、同三十四年に再建され、大天守ともに復元された。

      金燐 … 金で作ったうろこ。 金に輝くしゃちほこ。 燦爛 … キラキラ光り輝くさま。   高甍 … 高いいらか。 名古屋の高い瓦屋根。

      登臨 … 高いところに登って下を見渡すこと。    秀立 … きわだって抜きでている。 
   
     金湯 … 金城湯池(金で作った堅固な城と、湧きたつ湯をたたえて人の近寄れぬような池。堅固な構え)の略。 名城 … 秀れた城。

通訳
  金のしゃちほこが高い瓦屋根の上で燦爛と輝いている名古屋城に、今日登って下界を見渡すと、なんとも言えない壮大な気分が胸中に湧き起こる。
     天守閣はまるで雲を衝かんばかりに聳え立ち、堅固な構えを有する名古屋城は実にりっぱな城である。

鑑賞  名古屋城といえば昔から天下の名城として名高い。また金のしゃちほこで有名である。
     そのため、この名古屋城は別名金鯱城・金城ともいわれる。作者が、この名城に登城してみて、その眺めの大きさに改めて驚き
     感嘆したものであろう。 承句『今日登臨無限の情』は、その感激を端的に表現しているといってよい。


                                                            
資料提供 山本義夫様

松口月城

inserted by FC2 system